栗田工業の「超純水製造装置」の特許を読む

特許を沢山読んでいかなければならないと、トライアルで痛感したのですが、そもそも自分が今まで読んできた特許がちゃんと整理できていなかったため、これを機に読み直して、まとめていきたいと思います。
自分で要約を作るのは非常に時間がかかってしまい、 これで良いのかな、と思いながら・・・ トライアル後まだ新しい特許を読めていません。

今回は水処理メーカーである栗田工業の特許です。
栗田工業は水処理における薬品に強みがあり、半導体や液晶向け超純水ビジネスに注力している会社です。超純水装置などの特許では、オルガノと並んでよく出てくる会社です。

「 超純水製造装置及び超純水製造装置の運転方法 」
栗田工業株式会社
特開2018-94531

(57)【要約】
【課題】  サブシステムに紫外線酸化装置と白金族金属触媒樹脂塔とを有し、過酸化水素除去能力の低下を抑制した超純水製造装置を提供する。
【解決手段】  一次純水製造装置3は、タンク5と紫外線酸化装置6と再生型イオン交換装置7と膜式脱気装置8とを有する。サブシステム4は、サブタンク11とこのサブタンク11から送給される一次純水を処理する紫外線酸化装置12と水素ガス供給手段13と白金族金属触媒樹脂塔14と膜式脱気装置15と非再生型混床式イオン交換装置16と限外濾過(UF)膜17とで構成されている。白金族金属触媒樹脂塔14における白金族金属触媒樹脂は、担体樹脂に白金族金属を担持させたものであり、 特に担体樹脂に白金族の金属のナノオーダーの粒径の粒子を担持させたものが好ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
  紫外線酸化装置、再生型混床式イオン交換塔又は電気脱イオン装置及び膜式脱気装置を有する一次純水製造装置と、該一次純水製造装置から得られた一次純水を処理する紫外線酸化装置、白金族金属触媒樹脂塔及び膜式脱気装置を有するサブシステムを備える超純水製造装置において、
  前記サブシステムの前記白金族金属触媒樹脂塔の前段に水素ガス供給手段を設けた、超純水製造装置。
【請求項2】
  前記サブシステムが非再生型混床式イオン交換塔を有する、請求項1に記載の超純水製造装置。
【請求項3】
  前記白金族金属触媒樹脂塔における白金族金属が白金、パラジウム又は白金/パラジウム合金である、請求項1又は2に記載の超純水製造装置。
【請求項4】
  前記白金族金属が平均粒子径1〜50nmの白金族の金属の粒子である、請求項1〜3のいずれかに記載の超純水製造装置。
【請求項5】
  紫外線酸化装置、再生型混床式イオン交換塔又は電気脱イオン装置、及び膜式脱気装置を有する一次純水製造装置と、該一次純水製造装置から得られた一次純水を処理する紫外線酸化装置、水素ガス供給手段、白金族金属触媒樹脂塔及び膜式脱気装置を有するサブシステムとを備える超純水製造装置の運転方法であって、被処理水を前記一次純水製造装置及び前記サブシステムに連続して通水して超純水を製造する、超純水製造装置の運転方法。
【請求項6】
  前記白金族金属触媒樹脂塔における白金族金属が白金、パラジウム又は白金/パラジウム合金である、請求項5に記載の超純水製造装置の運転方法。
【請求項7】
  前記白金族金属が平均粒子径1〜50nmの白金族の金属の粒子である、請求項5又は6に記載の超純水製造装置の運転方法。
【請求項8】
  前記サブシステムの前記紫外線酸化装置の処理水のH濃度が10〜100μg/Lであり、該サブシステムの前記白金族金属触媒樹脂塔の処理水のH濃度が0.1〜10μg/Lである、請求項5〜7のいずれかに記載の超純水製造装置の運転方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本発明は一次純水製造装置とサブシステムとを備えた超純水製造装置及びこの超純水製造装置の運転方法に関し、特にサブシステムに紫外線酸化装置と白金族金属触媒樹脂塔とを有する超純水製造装置及びこの超純水製造装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
  従来、半導体等の電子産業分野で用いられている超純水は、前処理システム、一次純水製造装置及び一次純水を処理するサブシステムで構成される超純水製造装置で原水を処理することにより製造されている。
【0003】
  図2に示すように従来の超純水製造装置21は、一般に前処理装置22、一次純水製造装置23、及び二次純水製造装置(サブシステム)24といった3段の装置で構成されている。このような超純水製造装置21の前処理装置22では、原水Wの濾過、凝集沈殿、精密濾過膜などによる前処理が施され、主に懸濁物質が除去される。
【0004】
  一次純水製造装置23は、前処理水W1のタンク25と紫外線(UV)酸化装置26と再生型イオン交換装置(混床式又は4床5塔式など)27と膜式脱気装置28とを有し、その他必要に応じてRO膜分離装置や電気脱イオン装置等を有していてもよい。ここで前処理水W1中の大半の電解質、微粒子、生菌等の除去を行うとともに有機物を分解する。
【0005】
  サブシステム24は、前述した一次純水製造装置23で製造された一次純水W2を貯留するサブタンク31とこのサブタンク31から図示しないポンプを介して送給される一次純水W2を処理する紫外線酸化装置32と白金族金属触媒樹脂塔33と膜式脱気装置34と非再生型混床式イオン交換装置35と膜濾過装置としての限外濾過(UF)膜36とで構成され、さらに必要に応じRO膜分離装置等が設けられている場合もある。このサブシステム24では、紫外線酸化装置32により一次純水W2中に含まれる微量の有機物(TOC成分)を紫外線により酸化分解し、この紫外線の照射により生じた過酸化水素を白金族金属触媒樹脂塔33で分解し、その後段の膜式脱気装置34で混入しているDO(溶存酸素)などの溶存ガスを除去する。続いて非再生型混床式イオン交換装置35で処理することで残留した炭酸イオン、有機酸類、アニオン性物質、さらには金属イオンやカチオン性物質をイオン交換によって除去する。そして、限外濾過(UF)膜36で微粒子を除去して超純水W3とし、これをユースポイント37に供給して、未使用の超純水はサブタンク31に還流する。
【0006】
  上述したような従来の超純水製造装置21では、紫外線酸化装置32におけるTOC成分の酸化分解機構は、水を酸化分解してOHラジカルを生成させ、このOHラジカルによりTOC成分を酸化分解するものであり、通常、この紫外線酸化装置32における紫外線は水中のTOCを十分に酸化分解できるように過剰量照射される。このように紫外線酸化装置32の紫外線照射量が多いと、水の分解で生成したOHラジカルが過剰となるため、余剰のOHラジカルが会合することで過酸化水素となる。発生した過酸化水素は後段の白金族金属触媒樹脂塔33と接触することで分解される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
  しかしながら、本発明者らの検討の結果、サブシステム24の紫外線酸化装置32が長期間の過酸化水素の分解を行うと過酸化水素の除去能力が低下することがあることがわかった。この結果、超純水W3中に過酸化水素が残存すると水質低下の原因となるだけでなく、非再生型混床式イオン交換装置35や後段の限外濾過(UF)膜36を劣化させるおそれがある。さらに、過酸化水素が分解すると酸素を生成することで水中のDOが増加する原因ともなる。
【0008】
  本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、一次純水製造装置とサブシステムとを備え、このサブシステムに紫外線酸化装置と白金族金属触媒樹脂塔とを有する超純水製造装置における白金族金属触媒樹脂塔の過酸化水素除去能力の低下を抑制した超純水製造装置及びこの超純水製造装置の運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
  本発明は第一に、紫外線酸化装置、再生型混床式イオン交換塔又は電気脱イオン装置及び膜式脱気装置を有する一次純水製造装置と、該一次純水製造装置から得られた一次純水を処理する紫外線酸化装置、白金族金属触媒樹脂塔及び膜式脱気装置を有するサブシステムを備える超純水製造装置において、前記サブシステムの前記白金族金属触媒樹脂塔の前段に水素ガス供給手段を設けた、超純水製造装置を提供する(発明1)。
【0010】
  かかる発明(発明1)によれば、サブシステムの白金族金属触媒樹脂塔の前段に水素ガ
ス供給手段を設けることにより、白金族金属触媒樹脂塔の過酸化水素除去能力の低下を抑制することができる。これは以下のような理由による。すなわち、サブシステムの紫外線酸化装置の後段の白金族金属触媒樹脂塔の過酸化水素除去能力の低下は、被処理水中の過酸化水素に対して水素が当量未満であり、白金族金属触媒が酸化するためであると考えられる。次に過酸化水素に対して水素が不足する原因について本発明者らが検討した結果、一次純水製造装置の紫外線酸化装置において、有機物の分解に伴い過酸化水素と水素が生じ、この水素は膜式脱気装置で除去される一方、過酸化水素はサブシステムに流入することが原因であることがわかった。そこで、サブシステムの白金族金属触媒樹脂塔の前段に水素ガス供給手段を設けてサブシステムの紫外線酸化装置の被処理水中の水素が過酸化水素に対して当量以上となるようにすれば、過酸化水素の分解により生じる酸素と水素が結合することで水になるので、白金族金属触媒の酸化劣化を防止することができる。
【0011】
  上記発明(発明1)においては、前記サブシステムが非再生型混床式イオン交換塔を有することが好ましい(発明2)。
【0012】
  かかる発明(発明2)によれば、被処理水中に含まれる微量の有機物が紫外線酸化装置によって分解され、残留した炭酸イオン、有機酸類、アニオン性物質や前段より流入してくる金属イオンやカチオン性物質をイオン交換によって除去することができる。
【0013】
  上記発明(発明1,2)においては、前記白金族金属触媒樹脂塔における白金族金属が白金、パラジウム又は白金/パラジウム合金であることが好ましい(発明3)。
【0014】
  かかる発明(発明3)によれば、処理水中に含まれる微量の過酸化水素を効率的に分解除去することができる。
【0015】
  上記発明(発明1〜3)においては、前記白金族金属が平均粒子径1〜50nmの白金族の金属の粒子であることが好ましい(発明4)。
【0016】
  かかる発明(発明4)によれば、処理水中に含まれる過酸化水素を特に効率的に分解除去することができる。
【0017】
  本発明は第二に、紫外線酸化装置、再生型混床式イオン交換塔又は電気脱イオン装置、及び膜式脱気装置を有する一次純水製造装置と、該一次純水製造装置から得られた一次純水を処理する紫外線酸化装置、水素ガス供給手段、白金族金属触媒樹脂塔及び膜式脱気装置を有するサブシステムとを備える超純水製造装置の運転方法であって、被処理水を前記一次純水製造装置及び前記サブシステムに連続して通水して超純水を製造する、超純水製造装置の運転方法を提供する(発明5)。
【0018】
  かかる発明(発明5)によれば、サブシステムの白金族金属触媒樹脂塔の前段に水素ガス供給手段を設けることにより、サブシステムの紫外線酸化装置で生じる過酸化水素を分解するに際し、サブシステムの紫外線酸化装置の被処理水中の水素が過酸化水素に対して当量以上とすることで、過酸化水素の分解により生じる酸素と水素が結合することにより水になるので、白金族金属触媒の酸化劣化を防止しながら超純水を製造することができる。
【0019】
  上記発明(発明5)においては、前記白金族金属触媒樹脂塔における白金族金属が白金、パラジウム又は白金/パラジウム合金であることが好ましい(発明6)。
【0020】
  かかる発明(発明6)によれば、処理水中に含まれる微量の過酸化水素を効率的に分解除去することができる。
【0021】
  上記発明(発明5, 6)においては、前記白金族金属が平均粒子径1〜50nmの白金族の金属の粒子であることが好ましい(発明7)。
【0022】
  かかる発明(発明7)によれば、処理水中に含まれる過酸化水素を特に効率的に分解除去することができる。
【0023】
  上記発明(発明5〜7)においては、前記サブシステムの前記紫外線酸化装置の処理水のH濃度が10〜100μg/Lであり、該サブシステムの前記白金族金属触媒樹脂塔の処理水のH濃度が0.1〜10μg/Lであることが好ましい(発明8)。
【0024】
  かかる発明(発明8)によれば、サブシステムの紫外線酸化装置及び白金族金属触媒樹脂塔の処理水のH濃度が上記範囲内となるように紫外線酸化装置及び白金族金属触媒樹脂塔での処理条件を制御することにより、該白金族金属触媒樹脂塔の後段の膜式脱気装置などへの悪影響を最小限に抑制するとともに、得られる超純水の過酸化水素濃度及び溶存酸素濃度を極めて低いレベルとすることができる。
【発明の効果】
【0025】
  本発明によれば、サブシステムの紫外線酸化装置の処理水に水素を供給することによって、紫外線酸化装置で発生した過酸化水素を白金族金属触媒樹脂塔で分解した際に生じる酸素と水素とが結合することにより水になるので、白金族金属触媒の酸化劣化を防止しながら超純水を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態による超純水製造装置を示すフロー図である。
【図2】従来の超純水製造装置を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
  以下、本発明の一実施形態による超純水製造装置及びこの装置の運転方法について図1を参照して詳細に説明する。
【0028】
  図1は本発明の一実施形態による超純水製造装置を示すフロー図であり、図1において、超純水製造装置1は、前処理装置2と一次純水製造装置3と二次純水製造装置(サブシステム)4との3段の装置で構成されていて、前処理装置2は、工水、井水、市水などの原水Wの濾過、凝集沈殿、精密濾過膜などにより構成されている。
【0029】
  一次純水製造装置3は、被処理水としての前処理水W1のタンク5と紫外線(UV)酸化装置6と再生型イオン交換装置(混床式又は4床5塔式など)7と膜式脱気装置8とを有する。
【0030】
  サブシステム4は、前述した一次純水製造装置3で製造された一次純水W2を貯留するサブタンク11とこのサブタンク11から送給される一次純水を処理する紫外線酸化装置12と白金族金属触媒樹脂塔14と膜式脱気装置15と非再生型混床式イオン交換装置16と膜濾過装置としての限外濾過(UF)膜17とを備えており、白金族金属触媒樹脂塔14の前段には水素ガス供給手段13が設けられている。そして、限外濾過(UF)膜17を通過した超純水W3は、ユースポイント18に供給された後、未使用の超純水W3がサブタンク11に還流するように構成されている。
【0031】
  上述したような超純水製造装置1において、白金族金属触媒樹脂塔14に充填する白金族金属触媒樹脂は、担体樹脂に白金族金属を担持させたものである。
【0032】
  この白金族金属を担持させる担体樹脂としては、イオン交換樹脂を用いることができ、特にアニオン交換樹脂を好適に用いることができる。本実施形態において用いるアニオン交換樹脂は、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体を母体とした強塩基性アニオン交換樹脂であることが好ましく、特にゲル型樹脂であることが好ましい。白金族金属は、負に帯電しているので、アニオン交換樹脂に安定に担持されて剥離しにくいものとなる。アニオン交換樹脂の交換基は、OH形であることが好ましい。OH形アニオン交換樹脂は、樹脂表面がアルカリ性となり、過酸化水素の分解を促進する。
【0033】
  また、白金族金属は、超純水に対する溶出性が低くかつ触媒活性が高いため、高い通水速度で通水できるので何らかの溶出が起こったとしても溶出物濃度が抑制され、早期の水質悪化が抑制される点において好ましい。この白金族金属としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金を挙げることができる。こられの白金族金属は、1種を単独で用いることができ、2種以上を組み合わせて用いることもでき、2種以上の合金として用いることもでき、あるいは、天然に産出される混合物の精製品を単体に分離することなく用いることもできる。これらの中で白金、パラジウム、白金/パラジウム合金の単独又はこれらの2種以上の混合物は、触媒活性が高いので特に好適に用いることができる。
【0034】
  特に白金族金属触媒樹脂として、上述した担体樹脂に白金族の金属のナノオーダーの粒径の粒子を担持させたものを好適に用いることができる。
【0035】
  白金族の金属ナノ粒子を製造する方法に特に制限はなく、例えば、金属塩還元反応法、燃焼法などを挙げることができる。これらの中で、金属塩還元反応法は、金属ナノ粒子の製造が容易であり、安定した品質の金属ナノ粒子を得ることができるので好適に用いることができる。金属塩還元反応法であれば、例えば、白金などの塩化物、硝酸塩、硫酸塩、金属錯化物などの0.1〜0.4mmol/L水溶液に、アルコール、クエン酸又はその塩、ギ酸、アセトン、アセトアルデヒドなどの還元剤を4〜20当量倍添加し、1〜3時間煮沸することにより、金属ナノ粒子を製造することができる。また、例えば、ポリビニルピロリドン水溶液に、ヘキサクロロ白金酸、ヘキサクロロ白金酸カリウムなどを1〜2mmol/L溶解し、エタノールなどの還元剤を加え、窒素雰囲気下で2〜3時間加熱還流することにより、白金ナノコロイド粒子を製造することもできる。
【0036】
  白金族の金属ナノ粒子の平均粒子径は1〜50nmが好ましく、より好ましくは1.2〜20nmであり、更に好ましくは1.4〜5nmである。金属ナノ粒子の平均粒子径が50nmを超えると、ナノ粒子の比表面積が小さくなって、過酸化水素の分解除去に対する触媒活性が低下するおそれがある。一方、金属ナノ粒子の平均粒子径が1nm未満であると、過酸化水素の分解除去に対する触媒活性がかえって低下するおそれがある。
【0037】
  アニオン交換樹脂への白金族の金属ナノ粒子の担持量は、0.01〜0.2重量%であることが好ましく、特に0.04〜0.1重量%であることが好ましい。金属ナノ粒子の担持量が0.01重量%未満であると、過酸化水素の分解除去に対する触媒活性が不足するおそれがある。金属ナノ粒子の担持量は、0.2重量%以下で過酸化水素の分解除去に対して十分な触媒活性が発現するため、通常は0.2重量%を超える金属ナノ粒子を担持させる必要はない。0.2重量%を超える金属ナノ粒子を担持させると、かえって経済的でない。また、金属ナノ粒子の担持量が増加すると、水中への金属の溶出のおそれも大きくなる。
【0038】
  次に上述したような構成を有する本実施形態の超純水製造装置1の運転方法について説明する。
【0039】
  まず、原水Wを前処理装置2で凝集沈殿、凝集ろ過、凝集加圧浮上などの操作により処理することで、主として原水W中の濁質を除去する。この前処理水W1は一旦タンク5に貯留され、図示しないポンプにより一次純水製造装置3に送給される。
【0040】
  一次純水製造装置3において、紫外線(UV)酸化装置6で前処理水W1中の有機物(TOC)が酸化されて有機酸となり、さらに二酸化炭素となる。また、紫外線酸化装置6で過剰に照射された紫外線により、前処理水W1の水分の分解によりOHラジカルと水素とが発生し、余剰のOHラジカルが会合することで過酸化水素となる。この結果、紫外線酸化装置6の処理水のH濃度は10〜100μg/Lとなる。水素はさらに、後述する膜式脱気装置8でも除去されるが、この結果、従来は過酸化水素濃度が高く水素が減少した処理水が、一次純水W2としてサブシステム4に供給され、従来はこれがサブシステム側の白金族金属触媒樹脂塔14の機能の低下の原因となっていた。その後、紫外線酸化装置6の処理水は、再生型イオン交換装置(混床式又は4床5塔式など)7で前処理水W1中の大半の電解質(イオン性成分)を除去し、さらに膜式脱気装置8で溶存酸素等の溶存ガスを除去して、有機物(TOC)2ppb以下、H濃度10〜100μg/Lの一次純水W2を得る。この一次純水W2は、一旦サブタンク11に貯留されたのち、図示しないポンプによりサブシステム4に送られる。
【0041】
  次にサブシステム4では、紫外線(UV)酸化装置12において一次純水W2中に残存する微量の有機物が酸化されて有機酸となり、さらに二酸化炭素となる。このとき有機物を極限まで除去するために紫外線酸化装置12では過剰に紫外線が照射されるので、一次純水W2の水分の分解で生成したOHラジカルが過剰となるため、余剰のOHラジカルが会合することで過酸化水素が発生する。これにより紫外線酸化装置12の処理水中のH濃度は10〜100μg/L程度となる。ここで紫外線酸化装置12の処理水中のH濃度が一次純水W2よりも増加しないのは、本実施形態においては、後述するように純度の高い超純水W3をサブタンク11に返送しているため、紫外線酸化装置12への流入水の過酸化水素濃度が一次純水W2よりも大幅に低くなるためである。
【0042】
  そして、紫外線酸化装置12の処理水に水素ガス供給手段13から水素を注入する。この水素の供給量は、紫外線酸化装置12の処理水中のHに対して当量以上で水素濃度が1〜100μg/Lとする。
【0043】
  続いて、水素ガスを注入した処理水を白金族金属触媒樹脂塔14で処理することにより過酸化水素が分解し酸素が生じる。このとき処理水は水素が豊富な状態であるので、酸素と水素が結合することで水になるので、白金族金属触媒の酸化劣化を防止することができる。これにより、H濃度は0.1〜10μg/L以下、特に白金族の金属ナノ粒子を用いた場合には、H濃度は5μg/L以下、特に1μg/L以下で、紫外線酸化装置12の処理水よりも低下する。
【0044】
  さらに、膜式脱気装置15で溶存酸素を除去する。そして、微量残留している炭酸イオン、有機酸類、アニオン性物質や前段より流入してくる金属イオンやカチオン性物質を非再生型混床式イオン交換装置16で除去し、さらに限外濾過(UF)膜17で微粒子を除去して超純水W3を製造することができる。この超純水W3をユースポイント18に供給して、未使用の超純水W3はサブタンク11に還流する。
【0045】
  特に、白金族金属触媒樹脂塔14の白金族金属触媒樹脂として、白金族の金属ナノ粒子をアニオン交換樹脂に担持したものを用いた場合、この白金族の金属ナノ粒子を担持したアニオン交換樹脂は比表面積が大きいので、過酸化水素分解の反応速度が非常に速く、通水空間速度を高くすることができる。そして、触媒の量に比べて通水量が多いために、触
媒から処理水に溶出する金属の影響を非常に小さくすることができる。さらに水中の過酸化水素は、アニオン交換樹脂に担持された白金族の金属ナノコロイド粒子と接触して速やかに分解し、アニオン交換樹脂に作用することがないので、アニオン交換樹脂が過酸化水素に侵されて有機体炭素(TOC)が溶出するおそれもない。
【0046】
  なお、本実施形態における超純水W3は、例えば、抵抗率:18.1MΩ・cm以上、微粒子:粒径50nm以上で1000個/L以下、生菌:1個/L以下、TOC(Total  Organic  Carbon):1μg/L以下、全シリカ:0.1μg/L以下、金属類:1ng/L以下、イオン類:10ng/L以下の性状を有するものである。
【0047】
  以上、本発明の一実施形態について添付図面を参照して説明してきたが、本発明は前記実施形態に限定されず、サブシステム4の白金族金属触媒樹脂塔14の前段に水素ガス供給手段13を設ければよく、種々の変形実施が可能である。例えば、一次純水製造装置3及びサブシステム4には必要に応じRO膜分離装置や電気脱イオン装置等の脱塩手段や他の各種エレメントを設けてもよいし、一次純水製造装置3の前段にさらに純水製造装置を設けて純水製造装置を3段構成としてもよい。
【実施例】
【0048】
  以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0049】
[実施例1]
  平均粒子径3.5nmの白金ナノコロイド粒子を、0.07重量%の担持量で強塩基性ゲル型アニオン交換樹脂に担持させ、白金族金属触媒樹脂として、白金族の金属ナノ粒子を担持したアニオン交換樹脂を調製した。
【0050】
  図1に示す装置構成の超純水製造装置1において、上述した白金族金属触媒樹脂を用いて白金族金属触媒樹脂塔14を構成して超純水W3を製造した。このとき、水素ガス供給手段13から水素濃度約10μg/Lとなるように水素を供給した。この超純水W3の製造工程におけるサブシステム4の白金族金属触媒樹脂塔14の入口水及び出口水の過酸化水素濃度(初期)を測定した。結果を表1に示す。また、この超純水製造装置1の運転を長期間継続した後の白金族金属触媒樹脂塔14の出口水の過酸化水素濃度(末期)を測定した。結果を表1にあわせて示す。なお、過酸化水素濃度は、フェノールフタレイン4.8mg、硫酸銅(無水)8mg及び水酸化ナトリウム48mgに硫酸ナトリウム(無水)を添加して10gとして、微量過酸化水素濃度定量用試薬を調製し、試験水10mLに該試薬0.5gを添加、溶解し、室温で10分間静置した後の552nmにおける吸光度の測定値に基づき算定した。
【0051】
[比較例1]
  実施例1において、水素ガス供給手段13を設けなかった以外は同様にして超純水製造装置1を構成して超純水W3を製造した。サブシステム4の白金族金属触媒樹脂塔14の入口水及び出口水の過酸化水素濃度(初期)を測定した結果を表1に示す。また、この超純水製造装置1の運転を長期間継続した後の白金族金属触媒樹脂塔14の出口水の過酸化水素濃度(末期)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0052】
【表1】

【0053】
  表1から明らかな通り、白金族金属触媒樹脂塔14の前段で水素を添加しなかった比較例1では長期間運転後の超純水W3の過酸化水素濃度の上昇が顕著であるのに対し、実施例1ではほとんど変化がなかった。
【0054】
[比較例2、3及び参考例]
  比較例1において、サブシステム4の白金族金属触媒樹脂塔14の樹脂を表層部、中部、下部の3領域に分別して取り出し、表層部及び中部の樹脂をそれぞれの試験用のカラムに充填し、試験用の白金族金属触媒樹脂塔とした。また、参考例として新品の樹脂を同様に試験用のカラムに充填し、白金族金属触媒樹脂塔とした。
【0055】
  超純水(過酸化水素1μg/L未満)に過酸化水素をそれぞれ300μg/L及び1000μg/L添加して試験用入口水を調製し、この試験用入口水を上述した試験用カラムに通水速度(SV) 300hr−1で下向流通水した後の出口水の過酸化水素濃度を測定した。結果を表2に示す。
【0056】
【表2】

【0057】
  表2から明らかなとおり、長期間運転後の白金族金属触媒樹脂塔14の表層部の樹脂をカラムに充填した比較例2の方が、中部の樹脂をカラムに充填した比較例3よりも処理水の過酸化水素の濃度が低かった。これにより中部の樹脂の方が過酸化水素分解能の低下が大きいことがわかる。白金族金属触媒樹脂塔14に下向流で通水した場合には、表層部から下方に行くに従い過酸化水素濃度は低くなる一方、溶存水素濃度は低減していくことから、過酸化水素分解能の低下は、水素不足に起因する酸化劣化によるものと推測される。
【符号の説明】
【0058】
1  超純水製造装置
3  一次純水製造装置
4  サブシステム(二次純水製造装置)
6  紫外線酸化装置
7  再生型イオン交換装置
8  膜式脱気装置
12  紫外線酸化装置
13  水素ガス供給手段
14  白金族金属触媒樹脂塔
15  膜式脱気装置
16  非再生型混床式イオン交換装置
17  限外濾過膜
W  原水
W1  前処理水
W2  一次純水
W3  超純水(二次純水)

まとめ

★従来技術

超純水:半導体など電子産業分野で用いられる

<紫外線酸化装置によるTOC成分の酸化分解機構>
水H2Oを酸化分解→OHラジカル(OH・)を生成

OHラジカル(OH・)によりTOC成分を分解する
紫外線酸化装置においてはTOCを十分酸化分解できるように過剰量照射される。

OHラジカル(OH・)が過剰

会合し、過酸化水素水となる

後段の白金族金属触媒樹脂塔と接触し、分解される(H2O2→O2)
反応:2H2O2 → 2H2O+O2

★問題点

白金族金属触媒樹脂塔が(紫外線酸化装置と書いてあるが間違いだと思われる)
長期間の過酸化水素水の分解を行うと、過酸化水素水の除去能力が低下する事がある。

超純水に過酸化水素水が残留

*水質低下
*非再生型混床式イオン交換装置や後段の限外ろ過膜の劣化おそれ
過酸化水素水が分解し、酸素を生成し、水中DO(溶存酸素)増加原因

★解決方法

白金族金属触媒樹脂塔の前段に水素ガス供給手段を設ける

<白金族金属触媒樹脂塔の過酸化水素水除去能力の低下原因>
1,過酸化水素水に対して水素が当量未満である

2,白金族金属触媒が酸化する


<上記 1,過酸化水素水に対して水素が当量未満の原因>
一次純水製造装置の紫外線酸化装置において、
有機物の分解で過酸化水素水と水素が生じる

水素・・・膜式脱気装置で除去される
過酸化水素水・・・サブシステムに流入してしまう

白金族金属触媒樹脂塔の過酸化水素水の分解の際に生じるO2

水素(←発明はここを補う供給手段を設ける)


となるので、白金族金属触媒の酸化劣化を防止しながら超純水が製造できる。

不明点

【発明の詳細な説明】 で、不明点があるので載せておきます。
「【0007】
  しかしながら、本発明者らの検討の結果、サブシステム24の紫外線酸化装置32が長期間の過酸化水素の分解を行うと過酸化水素の除去能力が低下することがあることがわかった。」

とあるのですが、「 紫外線酸化装置32 」ではなく、「 白金族金属触媒樹脂塔 33」の間違いではないか、と思うのです。
なぜなら、過酸化水素水の分解を行うのは、「 白金族金属触媒樹脂塔 」であり、「紫外線酸化装置」は紫外線を照射することによって、TOCを酸化分解するものだからです。

その後の段落【0010】において、
「   かかる発明(発明1)によれば、サブシステムの白金族金属触媒樹脂塔の前段に水素ガス供給手段を設けることにより、白金族金属触媒樹脂塔の過酸化水素除去能力の低下を抑制することができる。 」
と書いてあります。

まだ勉強して間もないため、公開特許にこのような間違いが存在するのかどうか、分からないのと、私自身の読みに問題がある可能性もあります。
もし、何らかの指摘がございましたら、コメント欄にコメント等頂けると幸いです。