栗田工業の「超純水製造装置」の特許を読む 第2弾

「 超純水製造装置及び超純水製造装置の運転方法 」
栗田工業株式会社
特開2018-89587

前回ブログに書いた、特開2018-94531の類似特許です。

前回は特許全文記載しましたが、かなりの長文掲載となってしまいましたので、今回はこの特許のまとめとポイントのみを書きます。
(特許のまとめを書く場合、どのような記載がわかりやすいか試行錯誤中です。)

同じ栗田工業から出されている、類似特許であり、この特許は 前回書いた特開2018-94531の 7日前に公開されたものです。

内容、記載方法もほぼ同じですが、「解決方法」が異なります。

まとめ&ポイント

【まとめ】
★従来技術

超純水:半導体など電子産業分野で用いられる

<紫外線酸化装置によるTOC成分の酸化分解機構>
水H2Oを酸化分解→OHラジカル(OH・)を生成

OHラジカル(OH・)によりTOC成分を分解する
紫外線酸化装置においてはTOCを十分酸化分解できるように過剰量照射される。

OHラジカル(OH・)が過剰

会合し、過酸化水素水となる

後段の白金族金属触媒樹脂塔と接触し、分解される(H2O2→O2)
反応:2H2O2 → 2H2O+O2

★問題点

白金族金属触媒樹脂塔が(紫外線酸化装置と書いてあるが間違いだと思われる)
長期間の過酸化水素水の分解を行うと、過酸化水素水の除去能力が低下する事がある。

超純水に過酸化水素水が残留

*水質低下
*非再生型混床式イオン交換装置や後段の限外ろ過膜の劣化おそれ
過酸化水素水が分解し、酸素を生成し、水中DO(溶存酸素)増加原因

★解決方法
サブシステムの白金族金属触媒樹脂塔の前段に水素ガス供給手段を設ける 【★ 特開2018-94531 と異なる】

<サブシステム白金族金属触媒樹脂塔の過酸化水素水除去能力の低下原因>
1,過酸化水素水に対して水素が当量未満である

2,サブシステム白金族金属触媒が酸化する

<上記 1,過酸化水素水に対して水素が当量未満の原因>
一次純水製造装置の紫外線酸化装置において、
有機物の分解で過酸化水素水と水素が生じる

水素・・・膜式脱気装置で除去される
過酸化水素水・・・サブシステムに流入してしまう

一次純水装置の紫外線酸化装置の後段に白金族金属触媒樹脂塔を設けて(←今回の発明、 【★ 特開2018-94531 と異なる】 )、過酸化水素を分解することで、
サブシステムの紫外線酸化装置の後段で過酸化水素が減少して、水素が過酸化水素に対して当量に近づく。

★(今回)特開2018-89587 &(前回)特開2018-94531との違い


問題となる、「過酸化水素水の処理方法」の違いにあります。

一次純水装置で発生する過酸化水素水がサブシステムに流入し、サブシステムの過酸化水素水が多すぎ、サブシステムの白金族金属触媒樹脂塔で処理しきれず劣化する。

これをどう処理するか?

(今回) 特開2018-89587の場合・・・一次純水装置の紫外線酸化装置の後段に白金族金属触媒樹脂塔を設けることで サブシステムに流入していた過酸化水素を減少することができる。

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(前回) 特開2018-94531・・・サブシステムの紫外線酸化装置と白金族金属触媒樹脂塔の間に水素供給手段を設けることで、水素が過酸化水素に対して当量以上となり、過酸化水素が処理できる。

O2(サブシステムの白金族金属触媒樹脂塔の過酸化水素水の分解の際に生じる)

水素(解決手段:水素を補う供給手段を設ける)


となるので、白金族金属触媒の酸化劣化を防止しながら超純水が製造できる。


ピンクで示す部分が解決手段です。

白金族金属触媒

水処理や、自動車の排ガス処理などに用いられる白金族金属触媒ですが、この特許ではどのような記載があるのか、見てみます。

白金族金属触媒樹脂→担持する樹脂はイオン交換樹脂、特にアニオン交換樹脂(スチレンージビニルベンゼン共重合体、強塩基性、ゲル型)を好適に用いることができる。

白金族金属触媒樹脂→担持する樹脂はイオン交換樹脂、特にアニオン交換樹脂(スチレンージビニルベンゼン共重合体、強塩基性、ゲル型)を好適に用いることができる。

白金族の金属ナノ粒子をアニオン交換樹脂に担持したものを用いた場合
比表面積が大きいので、過酸化水素分解の反応速度が非常に大きい、通水空間速度を高くできる。

触媒量に比して、通水量が大きい→触媒から処理水に溶出する金属の影響を非常に小さくできる。

白金族金属は負に帯電しているので、アニオン交換樹脂に安定に担持されて剥離しにくいものとなる。
アニオン交換樹脂はOH型であることが好ましい。

白金族金属は負に帯電して アニオン交換樹脂に安定に担持 ・・・?

白金族金属は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム. (Rh)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os). の六種類を指します。
物理的性質や化学的性質が互いによく似ているため、同じ族として扱われています。

ここでイオン化列を見てみましょう。
これは陽イオンになりやすいかどうかを表したものです。

★金属イオン化列
【大】Li>K>Ca>Na>Mg>Al>Zn>Fe>Ni>Sn>Pb>(H2)>Cu>Hg>Ag>Pt>Au【小】
【e-:放出力が強い】                 【e-:受取力が強い】

白金族金属である Pt は、イオン化列が小さい事が分かります。
イオン化列が小さいということは、陽イオンになりにくい→つまり電子を受け取る力が強い、ということです。
ですから、アニオン交換樹脂に安定に担持されることになります。