栗田工業「過酸化水素水溶液の精製方法および精製装置」を読む×2

栗田工業「過酸化水素水溶液の精製方法および精製装置」
特開2018-65725

【背景技術】
過酸化水素水溶液について、アントラセン誘導体の自動酸化により製造されている。
その製造過程で、減圧蒸留することにより過酸化水素水溶液を得る。
しかし、この、過酸化水素水溶液は必ずしも純度が高いとは限らないため、含有する金属不純物で
過酸化水素が分解するため、安定剤を添加する。

電子部品の製造工程で洗浄薬剤として使用する場合:安定剤添加した30~60重量%の過酸化水素水溶液を
吸着樹脂、イオン交換樹脂、キレート樹脂、逆浸透膜、限外濾過膜、精密濾過膜などを組み合わせて精製する。
※逆浸透膜は低圧逆浸透膜(1.47Mpa)や超低圧逆浸透膜(0.75MPa)が用いられる。

過酸化水素水溶液は電子部品の製造工程で、洗浄薬液などで使用されるが、TOCの管理濃度が超純水に比べて
1000倍以上高いので、過酸化水素水溶液中のTOCが洗浄液中のTOC濃度を高める原因となる。

【課題】
高機能ウエーハや高機能半導体の製造工程において、洗浄液中の有機物に起因する歩留まり低下

TOC濃度が管理濃度以下であるのに、lot毎でばらつく

過酸化水素水溶液の精製処理の不安定性に起因する
・過酸化水素による酸化劣化→イオン交換樹脂から溶出したTOCによりTOC濃度がばらつく
・イオン交換樹脂の後段でのRO膜処理である程度軽減されるが、根本的解決ではない

【解決手段】
より耐酸化性に優れた低溶出性のイオン交換樹脂を用いて安定にかつ高純度に精製する精製方法と精製装置

過酸化水素水溶液をイオン交換樹脂
 ①第1H形強カチオン交換樹脂(カチオン性の金属イオン不純物が除去される)
→②塩形強アニオン交換樹脂(アニオン性の金属不純物や塩素イオン、硫酸イオンが除去される)
→③第2H形強カチオン交換樹脂(前段の塩形強アニオン交換樹脂に不純物として含まれる微量のNa+,K+,Al3+などの金属イオン不純物などを高度に除去)

 に順次通水させる。

*少なくとも第2H形強カチオン交換樹脂に特定のH形強カチオン交換樹脂を用いる
*ゲル型がのぞましい
*①:高架橋樹脂  ③:高架橋樹脂or低架橋樹脂
*高架橋樹脂・・・架橋度9%以上。過酸化水素に対する耐酸化性に優れる、低溶出性の樹脂
*低架橋樹脂・・・架橋度6%以下。標準架橋樹脂よりも除去効率、洗浄効率が高く、前段から溶出するTOCを効率的に除去する事ができる

強イオン交換樹脂
  ・H形強カチオン交換樹脂:スルホン化する(※強酸性カチオン交換樹脂はスルホン酸基をもつため)
  ・H形強アニオン交換樹脂:フリーデルクラフツ反応触媒を用いてハロアルキル化する→溶媒により洗浄して溶出性化合物を除去→アミン化合物と反応させる
(※ハロゲン化アルキル基を導入する。「ハロゲン化アルキル基の導入を制限することにより、不純物の生成を抑制しする」、とあるのはフリーデルクラフツ反応において過剰反応としてポリアルキル化が進んでしまうからだと思われる)

栗田工業 「過酸化水素水溶液の精製方法および精製装置」
特開2018-65726

【背景技術】
過酸化水素水溶液について、アントラセン誘導体の自動酸化により製造されている。
その製造過程で、減圧蒸留することにより過酸化水素水溶液を得る。
しかし、この、過酸化水素水溶液は必ずしも純度が高いとは限らないため、含有する金属不純物で
過酸化水素が分解するため、安定剤を添加する。

電子部品の製造工程で洗浄薬剤として使用する場合:安定剤添加した30~60重量%の過酸化水素水溶液を
吸着樹脂、イオン交換樹脂、キレート樹脂、逆浸透膜、限外濾過膜、精密濾過膜などを組み合わせて精製する。
※逆浸透膜は低圧逆浸透膜(1.47Mpa)や超低圧逆浸透膜(0.75MPa)が用いられる。

過酸化水素水溶液は電子部品の製造工程で、洗浄薬液などで使用されるが、TOCの管理濃度が超純水に比べて
1000倍以上高いので、過酸化水素水溶液中のTOCが洗浄液中のTOC濃度を高める原因となる。

【課題】
高機能ウエーハや高機能半導体の製造工程において、洗浄液中の有機物に起因する歩留まり低下

TOC濃度が管理濃度以下であるのに、lot毎でばらつく

従来の過酸化水素水溶液のイオン交換処理、
過酸化水素水溶液のイオン交換処理+逆浸透膜分離処理による精製処理
において、過酸化水素水溶液中のTOCとホウ素を十分に除去し得ない事に起因する。

【解決手段】
過酸化水素水溶液を高圧型逆浸透膜分離装置を用いて処理する。
高圧型逆浸透膜分離装置は、海水淡水化プラントに用いられ、塩分濃度の高い海水を逆浸透膜処理する(膜面有効圧力5.52MPa)

高圧型逆浸透膜は膜表面に緻密なスキン層があるので単位操作圧力あたりの膜透過水量は低いもものTOCとホウ素の除去率は高い。
これをさらにイオン交換樹脂(第1ゲル型H形強カチオン交換樹脂→ゲル型塩形強アニオン交換樹脂→第2ゲル型H形強カチオン交換樹脂)に接触させる。

強イオン交換樹脂
  ・H形強カチオン交換樹脂:スルホン化する(※強酸性カチオン交換樹脂はスルホン酸基をもつため)
  ・H形強アニオン交換樹脂:フリーデルクラフツ反応触媒を用いてハロアルキル化する→溶媒により洗浄して溶出性化合物を除去→アミン化合物と反応させる
(※ハロゲン化アルキル基を導入する。「ハロゲン化アルキル基の導入を制限することにより、不純物の生成を抑制しする」、とあるのはフリーデルクラフツ反応において過剰反応としてポリアルキル化が進んでしまうからだと思われる)
   

特開2018-65725 と 特開2018-65726 の違い

どちらも公開日が同じ日であり、過酸化水素水溶液の精製純度を高める目的の特許です。
ほとんど内容は同じものですが、違いはどこかというと・・・

特開2018-65725・・・ 耐酸化性に優れた低溶出性のイオン交換樹脂 を組み合わせて順次通水する。

特開2018-65726 ・・・ 過酸化水素水溶液を高圧型逆浸透膜分離装置を用いて処理する。
            さらに イオン交換樹脂 (= 特開2018-65725 )に順次通水する。

特開2018-65725 の発明がAだとすると、 特開2018-65726 はA+Bというイメージです。

特開2018-65726 の対訳

この 特開2018-65726 については中国語に翻訳されたものがあったので、対訳もとりました。
恐らく日本人が訳したのだろうということが分かりました。
日本人特有の中国語の言い方表現が多かったのと、用語の間違いも結構ありました。訳に対する批判とかではなく、「こういう感じなんだな。」と思いました。そのため対訳を精読することはしなかったのですが、
・中国特許→日本語訳での対訳学習がベター(ネイティブ表現を学ぶ)
・用語は分野を勉強することに尽きる
が重要だという学びを得ました。

しかし、 中国特許→日本語訳はその逆にくらべて見つかりにくいのですが、こちらでの対訳を中心に切り替えようと思います。